「山より大きい猪は出ない」−−これは、市場がガラ(暴落)に見舞われたときに狼狽売りを抑え、投資家を鼓舞する呪文みたいものである。得体の知れない暴落材料でも、市場全体を上回るほど破壊的になることはなく、リスクは限定的として投資家の不安心理を落ち着かせようと繰り返されるが、時にはカラ元気にしか聞こえないこともないではない。バブル経済崩壊後の「失われた10年」などでも、何回も呪文が唱えられた。しかし証券会社、銀行と経営破たんが連鎖して、トップ銀行に軒並み公的資金が注入され、その後遺症としていまだに金利が正常化していないなど、「山より大きい猪が出た」印象が強い。
今回のサブプライムローン問題に端を発する米国の金融不安、信用収縮は「山より大きき猪」が出ているのか、出ていないのかはなはだ不透明である。空売り規制が、金融株19銘柄から全銘柄にまで広げられるのをみると、投資家全体のダメージがどこまで深刻化しているのか疑心暗鬼になる。空売り規制で仕掛け的な売りはブロックできても、実需売りが膨らんだら市場規制の強化だけで抑えられるのか、余計な心配をしてしまう。
米国市場と異なり日本市場の上げ、下げはやや緩やかである。前日の米国市場が急落してツレ安を覚悟しても、日本市場の下げは軽微であったり、逆に上昇したりする展開が目立つ。いわゆる「米国離れ」なのか、「山より大きい猪は出ない」とタカをくくっているのか、安心のようでもあり懸念も拭えない。
日本市場も、諸物価高騰で家計のサイフのヒモがいっそう堅くなり、景気後退を示唆する経済指標が相次ぐなど、「山」と「猪」のどちらが大きいか比較検討する時期にきているようである。検討の基本材料は、もちろん現在進行中の3月期決算会社の4−6月期(第1四半期、1Q)の業績動向である。業績悪、下方修正にはより神経質になっており、海運株のように業績を上ぶれ修正しても急落する例も出ている。この中身を丹念に精読、吟味する必要がある。
銘柄的には、好決算に素直な株高で反応した信越化学工業(4063)、小野建(7414)、ダイハツディーゼル(6023・大2)、日立化成工業(4217)、エス・エム・エス(2175・M)あたりからリサーチしてエースが登場するか待つところである。
浅妻昭治(あさづま・しょうじ)
株式評論家/日本インタビュ新聞社 編集部 部長
1942年生まれ、神奈川県川崎市出身。証券専門紙で新聞と雑誌のキャップを務め、マーケット及び企業の話題掘り下げ取材には定評がある。長く、旧通産省の専門紙記者クラブに所属し、クラブの幹事として腕をふるった。現在、日本インタビュ新聞社の編集長として活躍。
株式評論家/日本インタビュ新聞社 編集部 部長
1942年生まれ、神奈川県川崎市出身。証券専門紙で新聞と雑誌のキャップを務め、マーケット及び企業の話題掘り下げ取材には定評がある。長く、旧通産省の専門紙記者クラブに所属し、クラブの幹事として腕をふるった。現在、日本インタビュ新聞社の編集長として活躍。







































































