電力株は、かつての円高不況時には常に自他ともに許すリリーフエースであり続けた。政府の打ち出す経済対策には、必ず電力業界への円高差益還元と設備投資前倒し要請が盛り込まれ、景気下支え・浮揚役が期待された。要請に応えるその経営のフトコロの深さと実力は、電力自由化にも異を唱えず、安定・低廉供給を合わせて実現する公益事業株の鏡ともされた。その権威が地に堕ちたのは、相次ぐ原発のトラブル隠し、中越沖地震による東京電力柏崎刈羽原子力発電所の長期運転停止がきっかけとなった。もう何代も、財界総理といわれる日本経団連の会長ポストに就いていない。
株式市場でも、円高関連株といえばまず電力株とするのが定番であった。ところが今回は、紙パルプ株の後塵を拝している。2008年9月中間期決算の発表でも、会社が軒並み上方修正となったわけではないのが迫力を欠く要因である。沖縄電力、電源開発を含め11社中で、上方修正(勝ち)は5社、下方修正(負け)は4社、据え置き(引き分け)が2社の5勝4敗2分けのマバラな結果となった。しかも、上方修正といっても東京電力(9501)が代表するように、赤字幅が縮小する程度にとどまるケースが大半である。経済産業大臣の激変緩和措置要請で、来年1ー3月の燃料費調整制度による料金値上げを半分に値切られたことも少なからず影響している。
しかし、電力株の上方修正はこれ1回きりとは限らない。原油価格の動向次第でもう一度チャンスが来るはずで、来年2月の第3四半期決算発表時あたりがそのポイントとなる可能性がある。例えば東電は、第1四半期決算発表時に期初想定の原油価格1ドル=95ドルを125ドルに見直し中間期決算を下方修正したが、中間期決算公表時には今度はこれを110ドルに引き下げて通期業績を上方修正した。現在の原油価格は、100ドルをあっという間に下抜いて60ドルレベルまで急落しており、円高とのダブル効果を享受するかもしれないのである。さらにこの冬が厳冬にでもなれば、販売電力量に厳冬特需が上乗せとなる。
相場がすでに大底を打っているとすれば、最も好パフォーマンスが期待できるのはハイテク主力株の逆張りだろう。しかしそんな上げ、下げのめまぐるしい高速エレベーター相場は、怖くて乗り切れないとする向きには、電力株の再上方修正を待ち伏せ買いするのも一考余地がある。
浅妻昭治(あさづま・しょうじ)
株式評論家/日本インタビュ新聞社 編集部 部長
1942年生まれ、神奈川県川崎市出身。証券専門紙で新聞と雑誌のキャップを務め、マーケット及び企業の話題掘り下げ取材には定評がある。長く、旧通産省の専門紙記者クラブに所属し、クラブの幹事として腕をふるった。現在、日本インタビュ新聞社の編集長として活躍。
株式評論家/日本インタビュ新聞社 編集部 部長
1942年生まれ、神奈川県川崎市出身。証券専門紙で新聞と雑誌のキャップを務め、マーケット及び企業の話題掘り下げ取材には定評がある。長く、旧通産省の専門紙記者クラブに所属し、クラブの幹事として腕をふるった。現在、日本インタビュ新聞社の編集長として活躍。









































































